開業の流れについて
医院開業の流れは初めて相談を受けてから通常以下の順番でお話させていただいております。
1現状把握
年齢、経験、家族などご自身の置かれた環境のなかで本当に開業がベストな選択なのか考えることから始めてみましょう。高額な開業資金が必要になりますので、まずご家族の同意が得られたら検討を開始してみてください。
2候補地と開業スタイルの検討
最初は候補となる地域を幾つかに絞ることから始めます。候補地は「土地勘がある」「勤務地が近い」「駅から近い」「人口が増える地域」など様々な要素を加味しながら絞るとイメージしやすいです。
次に考えることは、どのようなスタイルの診療所にするかということです。「ビルに入居するのか」「戸建てにするのか」「既にあるクリニックを継承するのか」など、ご自身の希望するスタイルを定めていきます。概ね方針が決まりましたら時期をいつぐらいにするのかをお伝えいただきましたらご希望に合う物件をご提案していきます。
3開業地の調査
候補地が絞られてきましたら、周辺の医療情報を調査いたします。
4事業計画
まず、ご希望される開業のスタイルで必要になる初期費用を算出します。それに予想される収入をもとに、開業した場合の事業の収入、支出の推移がどのようになるかを表にして5年後まで予想します。融資額の指標にもなりますので金融機関の担当者や税理士を同席願いながら進めていきます。
5不動産の申込み・契約
事業計画の推移をみてその場所で開業をする気持ちがあれば、まず申込書を出して仮押さえをします。申込書は契約書ではありませんので違約金などのペナルティは発生しません。一定の期間は優先的に検討することができますので再度計画自体を見返してみてください。
申込みの期間が過ぎますと、契約に入ります。これ以降は、計画を中止する場合にペナルティが発生しますので様々な確認をしたのちに契約書を交わすことをお勧めします。
不動産の契約はいくつか種類があります。「土地を買って自身で建物を建てる」「土地は借りて自身で建物を建てる」「土地も建物も借りて内装を自身でする」「ビルのテナントとして入居する」などです。
6クリニックの外観・レイアウト
クリニックの外観や色、またはクリニック内のレイアウトなどを決めていきます。医療機関の場合、使用する機器は診療科目によって異なります。各ブースの広さや電気容量、排水装置また医療法の規制以外にも消防法にも注意が必要ですのである程度実績のある会社に依頼するのが無難ではあります。感染症の患者専用の感染室も必要になります。同じ診療科目の先輩のアドバイスを受けることができれば有益な情報を入手できると思います。
7医療機器の選定
必ず必要な機器から選定を始めましょう。医療機器は高額なものも多いですので導入にあたり採算性、対象となる患者数の見込みをもとに、開業と同時に必要なものと増患時に揃えるものと分けて考えるのも良いです。
購入価格については複数の業者から見積もりをとり、購入またはリースにするか検討します。
8職員募集
開業すると医師であると同時に経営者になります。医療のこと以外に労務管理に関する様々なことに目を配る必要があります。勤務時間・賃金・育成・福利厚生などです。これらを決めた上で職員の募集を行います。
クリニックの規模に応じて募集職種と人員数、正社員とパートに分けて募集を開始します。募集方法はハローワークや広告媒体、人材紹介会社などがあります。面接は社会保険労務士などの同席をお願いして複数人で行うようにしましょう。
9開業に必要な手続き
クリニックを開設するにあたっては各種の届出や申請をおこなう必要があります。「診療所開設届」「保険医療機関指定申請」「結核・生活保護・難病・身障者などの公費負担医療関連の届」「労災関連申請」「エックス線装置備付届」などです。医師会に入会される場合は挨拶回りと入会手続きが必要です。労務関係や税務関係は社会保険労務士や税理士に委託する場合が多いです。
10開業
クリニックの近隣の方々や親しい方を招いて内覧会を行いお披露目がすみましたら開院となります。